沖縄の地母神 平良とみ

喜劇「めんそーれ沖縄~なんくる狂想曲~」は、とみさんの魅力が満載の舞台だ。

ウチカビやバサナイ、ゴーヤなどが入った大きなバーキを頭に乗せ、行商のオミトおばぁ役の平良とみが親指を立て「テイクミー!テイクミー!」と、客席から舞台の観光バスをヒッチハイクして乗り込んで来る、とみさんの登場に、会場から大きな拍手が沸き起こる。後はもう、とみさんの独壇場だ「名前は、タマグスク オミト、乗っているから大丈夫、ハッシャオーライ!」「名護のヒンプンがじゅまるの前に降ろしてくれればいいさ~」行商おばぁの愛らしい笑顔とユーモアに会場は、何度も笑いに包まれる。普通の路線バスに乗ってくれと、おばぁを降ろそうとする運転手に、「あんたはどこの生まれだ」と問い詰め、「そうかそうか自分は遠い親戚だ!」と言い張り、親戚だと言われると粗末にできないウチナーンチュの運転手を尻目に強引に居座ってしまう、客席を笑いの渦に巻き込みながら、廃藩置県から戦後の沖縄をとみさんが演じ切る。こんなおばぁ、いるいる!と共感の拍手と爆笑。どこにでもいそうな、おばぁを演じるとみさんは、どこにもいない稀有な人だ。

物語は、沖縄島をタテに切り裂き、海上をとおってヤマトへつらなる国道58号線を観光バスがひた走る。奇跡の一マイルを通り 基地の谷間をくぐり抜け 実弾演習を突っ切り コザ暴動の群集をかきわけ バス幽霊とキジムナーに遭遇し 米兵と日本兵に追っかけられ

“走る走るバスは走る・・・・走って走って バスは走りながら、ついに海の上を漂流する”“

 「沖縄はどこに行くんだろう・・・」と海の上を漂流するラストシーン。

とみさんの圧倒的な存在感のある最後のセリフ。「ワーガル ウチナーデームンヌ(私が沖縄なんだもの)」小さなとみさんが舞台に出ると、空気も景色もすべてが沖縄に変わる大きな存在感。

 

演劇評論家の大笹吉雄さんは、1998年東京の俳優座劇場での公演を観て「沖縄の地母神とも言うべきエネルギーにあふれ、おおらかでユーモラスな平良の存在感が圧倒的だった。

事実、作者は平良が演じた「おばぁ」こそが「沖縄」だと語らせている。・・・地母神のような老女優の舞台を見ながら痛感せざるを得なかったのは、こういうことを感じさせる女優は、沖縄でもヤマトでも、もう二度と現れないだろうということである。」1998716日「琉球新報」より抜粋)と評している。

 

「ちゅらさん」や「ナビィーの恋」、数えきれないほどの舞台や映画、テレビ、ラジオで大好きな沖縄を伝えたとみさん。とみさんの想いを大切に、とみさんが愛した沖縄を、これからも多くの人とともに伝え表現していきます。

平良とみを支え応援して下さった皆様、本当にありがとうございました。

心から感謝申し上げます。